辿り路22 ~王と忠臣~

ユイナ

 聖杯の中身を飲ませれば元の王にと戻る。

 エイドスからの言葉を受けて、やるべき事は分かっている…。

 かと言って…聖なる力には敏感に反応して嫌悪感をとあらわにする王に、ただ杯を差し出して飲むように…そう言って飲むわけがない。

 そうなれば手段は強行…と言う事になる。

 本来ならば王への不敬は重罪…。が、意を決した兵士長と部屋付きの兵達は頷き合ってじわり…と王へと向かう。

 じりじりと…杯を持つ者と…左右から王を抑えにかかる者…近づいたとたんに、王は「危機」とさっしたのか攻撃に転じる…。

 さすがは武を誇るオーガ族の王…と言う所だろう…部下達は簡単にと交わされ投げ飛ばされる。

 が…部下達の方も、王を戻すという意思の為に必死…。三人がかりの連携で投げ飛ばされても諦めずに王にと飛び掛かり、とうとう王を捕まえる事に成功した。

 そのまま必死で抑え込む間に、一人が王にと聖杯に注がれた雫をと強引に飲ませる…。

 瞬間…バグド王は叫びをあげて少し頭を抱える様子を見せ…しばらくするとようやく落ち着きを取り戻す…。

 魔瘴が抜け、ひと息ついた王は、自らの手を見下ろす。

「…われはいったい…」

「おぉ、王よ、元に戻られたのですね」

 傍にいた大臣が声をかける。

「あの酷い頭痛が消えておる…永遠に続くかと思われたあの頭痛が…」

 王を悩ませていた頭痛は、魔瘴が払われると共に消えた様…。

 が、ふと王は胸元にあったペンダントが消えている事に気付き、周りにとその在り処をと尋ねる声…。それに、大臣が前へ進み出て、

「恐れながら…」

 そうペンダントについてを話始める。

 そのペンダントはガートラントから友好の証の品々の中にあった物…だが、どうやらそのペンダントは魔瘴の元…。身に着けたとたんに、王は倒れ命すら危うい状況にと陥っていたらしい。

 周りの者がそれを王から引き離そうとしたのだが、それはどうしても取り外す事は出来ず、怪しい光をたたえ続けていたと言う。

 神父や僧侶にもなすすべがなく、城の者達も見守る事しか出来なかったそこに、現れたのが「賢者マリーン」…彼女が呪文を唱えれば、ネックレスはあっさりと外れたらしい。

 そうして、彼女はそのネックレスは危険な物なのだと語り、王にと癒しの術をかけた後は、そのネックレスを持ちさったと言う。

 ネックレスはガートラントからの友好の印…だが、王も大臣もそれがガートラントから送った物ではないと頷き合う。

 魔瘴が払われて正気に戻った王は、ガートラントを信用していると見え、本来戦争など仕掛ける筈のない相手だ。

 おそらく王にと送られた品にと、その呪いのネックレスを仕込んだ者は、両国の間に戦争を起こそうと企む別の誰か…だったのだろう。

 そうして正気に戻った王は、大臣や兵士長から、彼が魔障に侵されている間の出来事を聞き、エイドスが来ていた事や、そのエイドスの進言を受けてユイナ達が王を戻す為にと聖杯や雫を取って来た話をと聞くことになる。

 その話を聞き、ユイナ達にも褒美を…と考え始める王だったが、思いつく褒賞は「キーエンブレム」なのだが「頭痛を治した程度で」…と悩む様子。

 そこに大臣が近付き、ガートラントへと戦争をと宣言し、国中に準備させていて、今にも進軍する所だった話も聞かされることになる。それも全く今は記憶にも残っていない様だ…。

 話を聞いて驚き、戦争が起これば民にも大変な被害が出ていた事…国を救ったとして認められ、ユイナ達には「黒のキーエンブレム」が与えられ、王はガートラントへの進軍の取り消しをと触れを出す様に大臣にと告げた…。

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