辿り路19 ~いにしえよりの亡霊~
エイドスをと尋ねれば、王の様子がおかしい理由は、彼が魔障にと侵されているせいだ…と言う事だった。
エイドスやユイナ達にと激しい拒否反応を示したのは、逆にエイドスやユイナ達の中に聖なる力がある事をと感じ取ったから…だと言う。
その魔障は、魔物が触れれば力を増大し、人が触れると、死に至るか…悪意にと染まるのだと言う。今の王の状態がまさにソレ…だ。
その王から魔障を払う方法として、エイドスは一瞬口ごもる…が、首を振って、ユイナ達にと「レムルの聖杯」とその在り処をと教える。それを持ち帰って来い…そう言う。
ただ、それは簡単には手に入らない…と言う事で、ただその場所に、安置場があり置かれている…とかではないらしい。
「聖杯って位やし…それを守ってる防衛装置的なのとか守護者的なのおるんかもな」
それに打ち勝つ事で手に入れられるというのならば、戦闘がある…それは力試しの一つと受け取るらしく、キーエンブレム取得には大して興味も無さそうだったリョウが、そちらにはやる気になる様…。
「よーし聖杯手に入れて王を助けよ~」
ネネの方は「人助け」としてやる気を出している。それぞれに性格や目的の違いはあるが、何となく上手く行っている関係だと思う。移動中にも思いつめるというような緊迫感はないが、わいわいとしながらも、依頼については真面目に熟す。
そうして…エイドスが言う渓谷の奥へと向かう…その目的地の手前には少し複雑な洞窟があり、そこを…迷走しつつたどり着いた先…骸骨兵達がウロウロしているのが目に入った…。
「は!?」
「彼らのボス、組み立て式!?」
骸骨兵達はその広間にとユイナ達が入った事に気付くと、ぱっと散り散りにと駆け出して行った…。
一瞬は逃げ出した…そんな風だったのだが、それらは手にそれぞれ…部品を持って戻って来て組み立て始める…。
そうして出来上がったのが、おそらく彼らをまとめている長…だったのだ。
その亡霊…そう見える骸骨は、自らをオーレンと名乗り、聖杯を守っているらしい。どうやらコチラの事をガートラントからの追っ手だと思い込んでいる様…おそらく生前は、ガートラントから追われる身だったのだろう。
ユイナ達はガートラントから彼を追って来た者…ではないが、彼が守っている聖杯が必要である事には変わりない…。聖杯は渡さない…と襲って来るオーレンとは武器を交える事になる。
戦闘を交えて、勝利すれば…オーレンは最後まで聖杯と口にしながら消えた…その後にと聖杯が残される。
それをユイナ達はそっと拾い上げた…。
聖杯への想いを強く残した古の亡霊が消えた洞窟は、シン…と静まり、もう集まっていた骸骨達の姿も無い。
オーレンはただひたすらに聖杯を守っていた…強い執着は持っていたが、その事情は分からない…強引に奪うという形にはなってしまった事にはなるが、話が通じる状態でもない相手…必要だったからとお願いした所で渡してくれた筈はない。仕方が無い事…と息を吐く。
「行こっか」
いつまでもここに居てもしょうがない…急ぐ目的もあるという事で、ユイナ達は聖杯を手に洞窟を後にした…。
聖杯を持って宿へと戻れば部屋にはエイドスは居ない…部屋を訪れたユイナ達には、エイドスから伝言を預かったという女性がやって来てその伝言を伝えてくれた。
預かったと言う手紙には、急に旅立つことになったという事から始まり、次にやるべき事…が書かれている。
次に行くべき場所はグレン領東から出て南…ランドン山脈の南東にある雲上湖…そこには目に見えない不思議な樹木があるという。必要なのはその木が落とす雫…それを聖杯で受け止め、その雫を王に飲ませれば王は治るのだという事だ。
「見えない木が…雫を落とす?」
手紙を読んでいる限りでは訳が分からない…。その上、その雲上湖には恐ろしい竜が居るらしく、襲われない様に気をつけろ…との注意付…だ。
「とにかく…見えないだけで存在はある…って事なら…落ちて来る雫をどう見極めて受け止めるか…は行ってみて考えよ…」
見てもいない物は、対策も考えようがない…と言う事で、まずはその樹木があるという雲上湖へ行ってみる事にする。
伝言を受けてくれた人は…少々エイドスへと心酔した…そんな様子…それにはあえて触れず、礼だけ言って宿を出た…。

