辿り路20 ~唐突な度胸試し~
エイドスの伝言を受けて、ユイナ達は少しの準備の後グレンを出発し、ランドン山脈の雲上湖を目指し出発する。
町の外へと出れば、また他のこれまで通って来た大陸とは違う気候と景色…。ランドン山脈までは少し距離があり、途中には宿があるという事でいったんそちらを目指す。
道のりはほぼ一本道だ。リョウには故郷の地であり、修行中にはランドン山脈やその向こう側の土地にも訪れた事があるという事で、迷う事もなく橋の上の宿にまで到着した。
橋の上の宿は海峡を見下ろす高い位置にとあり、遠くには変わった形の島と…鉄道の線路が見え、時間通りに箱舟が通り抜けて行くのを見る事が出来る。
その橋の上の宿…情報収集のためにと話しかけた一人が、
「戦闘時にテンションアップの効果があると言われている海峡バンジー、あなた達も挑戦していかないか」
そう言う。彼はこの海峡の崖の高さを利用したアトラクションをと提供している様だ。
ようは…バンジー用ロープを身にくくり、この崖の上から海峡の海面へと向かってバンジージャンプ…と言う事だ。
そうする事で、戦闘開始時にテンションアップの効果が付くとして、冒険者達の間ではその噂から、戦闘に向かう前にジャンプして行くという人も多いらしい…。
「これから向かう場所には狂暴な竜が居るって話だし~やってこ~」
既に乗り気なネネが、参加します…と代金を支払うのに、ユイナとリョウも続く。ジャンプ台の上から…機械的にではなく、係の男性の「バンジー!」の合図と共に自らジャンプ台から飛び降りるわけだが…。
ジャンプ台の上、カウントダウンの前には、目の前に見える変わった形の島についてを、係の男性が謂れや歴史をと語ってくれる…。
それは古く…グレンとガートラントの間にと行われた同盟の儀に関連した島だった様だ。変わった形…と見えたのは、どうやら大きな盾を持った巨人像の様…。
話を聞く内に、少し気を抜いた所でカウントダウン…「バンジー!」の合図でジャンプ台を飛び降りる。
ぐっと海面が迫るが、海面の少し上で体をつないでいたロープの反動でわずかに引き戻される。勢いの反動から何度かバウンドしていたが…やがて上から係員によって引き上げられた。
「どうだったい?」
笑顔で迎えられる。テンションアップの効果が付く…の実感はまだ得られないが、ある種の興奮から何か気持ちは高まっている気がした…。
「そろそろ出発しようか」
雲上湖では竜が住んでいて、危険な場所かもしれない…そういう事で連絡したルプルも、駆け付けてくれて合流し、ユイナ達は再び雲上湖を目指し宿を出発する。
ルプルも旅慣れた冒険者で、この辺りも初めてではないらしい。ユイナとネネに取っては初めての土地で、見える景色や生息するモンスターも全てが初めて見る物ばかりだ。
海峡の宿から洞窟を抜けてランドン山脈へと出れば…。
「わぁ~」
「真っ白だぁ」
辺りは一面が真っ白に染まった雪深い景色だった…。ユイナやネネの故郷では見かけられない景色だった。
大変な事態を解決するために…との旅路ではあるが、初めて見る景色にはわくわくとした気持ちは高まり、ワイワイとその中を進む。途中で素材を拾ったり、宝箱を見つけたりしつつ進んでいた。

