辿り路13 ~知恵の遺跡と恵みの歌~

ユイナ

 ジュレットの町を少し回っていると、何人かの人が身寄りのない小さい女の子の様子を気にしている風…。

 最近少し様子がおかしい彼女の事を見て来て欲しい…そう頼まれてその子の家をと訪れる。

 ところが…確かにその子は何か「隠し事」がある様子ではある…。理由をつけてこちらを家から追い出す…そういう様子で何も話は聞けなかった。

「何か隠し事がある…ぽかったけどな」

「これから出かけると言ってましたね」

 今から出かける所だから…そういう理由で追い出されたのだ。

「町長が強い冒険者を探してる…と言ってたな」

 ソーミャと名乗ったその子供が町長の所を訪れると良いと言って、その話をして行ったのだ。

「何か…冒険者が必要だって言うなら、モンスター関係かな?」

「町の人も何か…不安そうな様子も見かけられましたし…町の外では何か問題が起こっているのかもしれません」

 それならば、町長の依頼はモンスター退治か…と、とりあえず起こっている事を確認するという意味も含めて、町長の家を訪れる。

 町長にとソーミャから人を探していると言う話を聞いて来たと伝える。どうやら町長の言葉からしても、町の外に増えた猫の魔物の事で町中がピリピリと警戒状態にあるのは間違いない様だ。

 そうして話を聞いてみれば、隣の島にある遺跡にと人を送っていく必要があるらしいのだが、その道中に魔物が増えているため、安全に送り届けるための護衛として人を探していたのだという。

 ユイナ達はその調査員をと紹介され、彼の遺跡までの道中のモンスターを倒す露払いの役目をと引き受ける。

 王都からやって来た調査員が言うには、その遺跡に収められているこの国に取って大事な物…それに異常が起こっている兆候が見られたのだとか。

 その調査のためにと彼が派遣されたらしい。

 町長から遺跡までの行き方をと教えられ、後からついて来る調査員に危険が無いように…モンスターをと払いながら町を出発する。

 出発前に、オルフェアでお世話になったルプルにも連絡すれば、戦闘があるなら念のために…と、すぐに駆け付けてくれてジュレットの外で合流した。

 途中いくつかの分かれ道や洞口があるのだが、今はそちらには寄り道する事なく…まっすぐにと目的の場所へと向かっていたのだが、隣の島へと渡る渡し船にようやく乗った所で船頭が何かに気付いて船着き場の奥へと意識を向けた時だ…。

ボキッ…

 彼の持っていたカヌーのオールが…何かに引っ掛けたのだろうか…元々弱っていたのだろうか…真っ二つにと折れた…。

「あ…」

 ともかくそれでは隣の島へは行けない。船着き場を然程離れていなかったために、船着き場にと一旦ユイナ達は降りる。

 そうして船頭はオールの修理にとりかかるが、その修理には少し時間がかかるため、その間に先ほど見た人影が子供だった事もあり、今は町の外も危険…家に帰る様にと促して来て欲しいと頼まれる。

 ユイナ達は船の上から見た人影が駆け込んで行った荷物の影にと近づくと、そこに居たのは先ほどジュレットの町で出会ったソーミャだ…。

 こちらが近づいたのに気づくと、はっと慌てた様子で何かを隠そうとする…。が…子供のする事…「ここには何もないよ!」と背に庇えば、そこに何かがあると言っているようなものだ…。

 そのソーミャの後ろから「みゃぁ」と鳴き声がする。

「総じて…ウェディは…猫を苦手としていたよな…」

 リョウが隠したがる理由にと思い当るという風…。猫をかくまっていると知られれば、確かに大人達からは嫌がられるのだろう…。

 そもそも、ソーミャが猫におびえなかった事も不思議…と思えば、見ればそこに居た猫はまだ赤ん坊…。

 その上、浜辺に赤ん坊だけで流れ着いていたのを見つけ、「捨てられた」その境遇に、自分の身の上も重ねて同情もした様だ…。

 おまけに、大人達に見つかれば猫の魔物などひどい目にあうと想像がつく…なのでこうして隠して面倒を見てかくまっていた様だ。

 ユイナ達は無理やり奪い取るような必要もなく、ただ町の外の危険は心配しつつその場を離れる。

 戻った時にはオールの修理は終わっていて、聞かれるままに子供は用が終われば家に帰るだろうとだけ告げて、役目の為の旅を続けることにする。

 遺跡までの露払いと遺跡の中で目的地までの護衛…そうして目的の場所にとたどり着けば、修理の必要はあるが材料が少し足りないと言う事でその採取も頼まれる。

 その材料は遺跡の中のモンスターが時折落とすらしい…来る途中にも見かけたアレだ…と思い当りさっそく向かう。

 この場所にある音叉…は、ウェナ諸島全体の水を清めているヴェリナードの女王の歌を国中にと広げる役目がある大事な物で、滞って水が清められないままになれば、何か大変なことが起こる様…。

 その機能を維持していた装置が老朽化で止まってしまったので異常が起こっていたのだという。

 ユイナ達が素材を採取してきたのちに、彼がそれらを修理する間…彼はこの遺跡が作られた頃の話や、この遺跡が作られた理由にはまだ解明されていない大事な理由があったのでは…と言う彼の推察の話などを語って聞かせてくれた。

 確かに…ただ音を広げるという理由だけに作られたにしてはとても大掛かりであり、この遺跡を作るにはかなり危険もあった筈…。もっと重要な理由があったのでは…そう思うのもわかる話だった。

 彼が話す間に修理は終わり、再び音叉は機能し始める。丁度その直後がヴェリナードの城では女王が恵みの歌を謳う時間…。歌は音叉により広まり…海に光が満ちる。

 その守りの力により、ウェナの海は荒れず海の幸にも恵まれるのだという。

 そうして無事に機能する事を確認した後、調査員はジュレットへと帰って行く。ユイナ達にも町長の所まで来るようにと告げて行ったため、ジュレットの町へ戻ってすぐにと町長の家をと尋ねて行った…。

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