辿り路17 ~新たな旅と辿り着く先~
ユイナ達も町長と少しだけ話をした後、お互い礼を言って家を後にした。
その後…無事に家に帰っているだろうソーミャが、猫を手放して淋しい思いをしていたのも気にかかり彼女の家を訪れる…。
が…その家には先客がいた。彼女にと…身寄り無く1人で生きる者の心構え的な…自分が経験して来た事と自分がして来た事の話をしている。
(それは…ヒューザさんの様に強い方でなければ…少々難しいですわね…)
言っている事は確かにその通り…自分が強くなるしかない…なのだが…が、すぐに、
「別にお前にそうしろって言っているわけじゃねぇよ、カン違いすんな」
と付け加えられる…。ソーミャの方も素直にそれに「うん」と応えている。子猫との別れに寂しさはあっただろうが、然程に落ち込みすぎていると言う様子ではない様で安心する。
(この方…もしや…そう冷たい方ではないのでは…)
言葉遣いは少し横柄にも見える様子で、然程人に気を遣うからは遠い人には見える…が、おそらく本当に言いたい事は、一人で生きるために強くなれ…の方ではない…頼れる者がいる者は頼ればいい…の方。つまりは…
(ご自身も気にかけているのだから…大人の事は頼れ…と…素直におっしゃられれば良いのに…も、もしや…ツンデレ…なタイプでしょうか…)
小さい子が一人残されたのを気にかけて家までわざわざ訪れて声を掛けたのだ…おそらく冷たい人…と言うわけではない。
自分自身もそうして来た…と言う通り、彼もまた身寄りや頼る者が居ない暮らしの大変さをよく知る人なのだろう。
二人で猫島まで来た時のソーミャの彼への態度からしても、その旅の間…彼がソーミャを十分気にかけて…会話しながら連れて来ていたのも見てとれる様子だった事からも明らかだった…。
そんな様子を眺めて居れば、ユイナ達が入って来た事に気が付いたヒューザが、慌てて立ち上がる…そう…ソーミャに合わせて身を屈めて話をしていた当たりも…根っから冷たい人とは思えない姿勢…。
見られたくなかった所を見られた…そういう様子。少し言葉を濁した後で、ヒューザはまた旅に出る…そう言って別れを告げた。
出て行こうとするヒューザにとソーミャが声をかける…その言葉は、彼の強さを見習う様子であり、いつかは猫島まで、別れた子猫にも会いに行ける位に強くなる…そう宣言していた。その言葉を聞き終えてヒューザは家を出て行く。
ソーミャはユイナ達にも礼を言い、これからは一人で頑張って生きて行く意思を見せて、大丈夫だと頷いて見せた。
「お友達になって貰いに…か」
ソーミャはいつか猫島にと会いに行くと言った。あの子猫と友達になるために…。
それが実現すれば、ウェディと巨猫族との関係が、今とは少しずつ違った物になるのだろう…全ての魔物と…ではなく、一部の者との間で…と言う意味ではあるが。
ソーミャには別れを告げて家を後にする。
「青のキーエンブレムもゲット~」
少し思わぬ出来事に巻き込まれた…感はあるが、無事目的を果たして喜び合う。
「家も買ったし~ジュレットの旅は良い収穫だったね~」
初めは…うっかり箱舟で降りる駅を間違えたのだが…結果は良かったと言える。
「さて…少し休んだら次行こか」
「今度こそガタラだ~」
ここでの用は終わった…と、マーケットなどで次の旅の準備を整えた後で駅へと向かう。
そうして…列車にと乗り込むと、再び列車の中ではホーローと出会う。彼は…キーエンブレムを6個集めた時に、レンダーシアの解放する方法を教える…そういう。
レンダーシアを封印しているのは、エテーネを滅ぼした冥王…。ただ今はまだ勝てない相手だ…そうホーローは言い、まずはキーエンブレムを6個集められる程の力をつける様に…そう言う事だった。
駅が近づき、彼が去った後…ユイナもガタラの駅へと降り立つ…が…。
「あ、あれ??」
人々を駅へと降ろし…次の駅へと向かって出発した大地の箱舟…その勇壮な姿をと見送る…が…見回した駅…ネネとリョウの姿はない。
「え? えぇ!?」
確かに自分がガタラの駅に居る事は、駅から出たすぐの所に居た住人にと尋ねて確かめる…。が、人ごみに紛れてはぐれてしまったのか…と、駅を探してみても、二人の姿は見当たらない。
もしや三人で一緒に乗り込んだつもりが、自分だけで箱舟に乗ってしまって、二人はまだジュレットなのか…と、ジュレットの駅へと戻って見るが、そこにも二人は居なかった。
ならば、2人の方がガタラでは降りずに通り過ぎた…と言う事もあり得ると考えてもう一度箱舟へと乗り込む…と、途中…グレンの駅でホームに居る二人の姿が窓から見えて、ユイナはグレンへと停車した箱舟を降りた。
「あ、来た来た~ユイナちゃんだけ居ないからどうしたのかと思ったよ~」
そんな言葉に、
「私はガタラに行ったんですよ~駅に降りて居なかったのは二人の方です~」
抗議の声…リョウの方は分かっていたのにネネについて降りた…と言う事で、二人の様子にただただ笑っている。
「飽きないね~」
その思いつきの行動にと、どうやらそのドタバタ騒ぎも楽しんでいる風だった。

