辿り路7 ~七夕の里~
導かれた場所は、星がきれいに瞬く里で、目の前の通りには屋台が並んでいる。訪れた皆が笑いあって楽し気だ。
里の主であるヒコボシ様にと挨拶の為に声をかければ、何やら困りごと…彼の願いを聞いて、彼が頼みごとをしているという人に会いに行けば、色々と祭事の準備にと忙しくしていたため、ヒコボシ様の願いをかなえる事には手が回っていなかった様。
彼女の手伝いをする事になったユイナ達は、里の中に居る…あらかじめ彼女から「おすすめデートプラン」やプレゼントを用意することを頼まれていた人々にと、話を聞いて回る。
用意されたステキなプレゼントを受け取り…ダンスの案を試して…そして、里の奥の小道を奥へ…。提灯をくれた人物が入る前にお祈りをすれば加護を得られる…と教えてくれたので、しっかりと祈りを捧げてから小道へと入った…。
「…こ、この奥…このお屋敷の裏側…ですよね…」
小道の先は薄暗く…おどろおどろしい雰囲気の屋敷が存在している。どこからかじっと…見られている気がしてきょろきょろと見回す…。
何人か訪れている人の姿は見かけられるが…その視線の気味悪さは、その人達だとは思えない。
「あれなんやろ…」
おびえる…と言う風もないリョウが気になった物へと近づいたり…。
「わっ! びっくりしたぁ~」
近づいた先で驚く仕掛けにネネが声を上げて居たり…。他に見学に来ている人間以外にも…何かあちこちに居る気配もある。
ユイナとしては…こんな場所で1人はぐれてはたまらない…と、一緒に来た皆の姿を見失わない様にと追いかけた…。
何とか…依頼されていた全てを検証し報告。無事…ヒコボシ様はやって来たオリヒメ様と素敵なデートが出来た様で一安心だ。
苦手なホラーハウス…はともかく…特別な里でネネやリョウ、ルプルと一緒に花火をしたり記念に写真を撮ったり…。とても楽しい思い出が増えた。
川辺での他愛ない話…貰った短冊に綴る願い事…。他の誰かがつづった願いには真剣な願いや世界平和、生活的成功…それらに紛れて時々笑いが漏れるような願いも紛れている。
そんな話題に笑いあいながら綺麗な星空の下で屋台を見て回ったり…と、祭りの会場を楽しむ。
「ここ家具屋さんだって~」
「わしそろそろ自分の家を買ってもイイかと思ってたとこやねん」
リョウは各地を旅する間に増える荷物などの事も考え、家を買う事も考えていたのだという。その上で、どうせ家を持つなら、住みやすさと共に、見た目の方でも内装や庭も整える事にも、家具には興味がある…そう言う様子で興味深げにと見比べる。
店の前で家具を見ていたユイナ達に、
「この里で売られている家具は、この季節に合わせて里だけで売られていて、時期が過ぎたら…次買えるのはまた一年後になるね」
ルプルがここで売られている家具はこの里限定の物で、時期を逃せば買えるのはまたずっと先になると教える。
「色々冒険に便利な機能もあるし、コンシェルジュを雇ってお家でやって貰える事も増えるから、買って置くのはイイと思うよ~」
ルプルがニコニコとそう言う。自宅があると好きな時にゆっくりできるという以外に、冒険にも役立つ機能が付いた家具なども開発されていて、それらを用意するお金は必要になるが、整えてしまえば旅にも役立つ物も多い…と言う事に、家を買う事も元から買おうと考えていたリョウだけでなく、話を聞いたユウナとネネも検討し始める。
「どちらにしても空いている土地は探しながら、様子を見るのもかねて一度住宅街の方へ行ってみるとイイネ~」
ルプルが、オルフェアにも住宅街へと続く通りがあるから、また時間が出来た時に見学にでも入ってみれば…と勧めてくれ、ユイナ達はまずは町長の話を聞いた後機会があれば町を経つ前には行ってみようと決めた。
この機会でしか買えない家具をそれぞれ手に入れ、花火など買ってみたり…里の祭りを十分に楽しんだ後は、七夕の里を後にする。
里から出れば、そこはまた案内を受けたオルフェアの噴水広場前だ。そこにはカササギは時期の間は居て、行きたい時には里に再び案内してくれるらしい。
説明を聞いて、礼を言って別れる。
「じゃぁ…キーエンブレム取得に向けて町長に会いに行きますか」
ルプルが案内を再開すると声をかけるのに、皆頷いて、
「ならあそこに見える建物を裏手に回るわね」
そう案内するルプルに続いた。

