辿り路2 ~偶然の出会い・迷子の少女~
ツスクルから行く先をアズランへ…と決めて旅立とうとしたその日…村の中で頼み事がある人や、旅に役立つ便利なあれこれ、旅をより楽しむ道具など…色々と声をかけてくれる人達と話す内に…うっかり出発を次の日にと伸ばし…。
いざ…と出発した所で、村近くとは強さの違うモンスターにと追われたり襲われたり…。村で教わったカメラで、ついつい写真を撮ったり…。
途中で立ち寄った木陰の集落でも滞在していた人々から話を聞きながら、何とか風の町アズランまで到着する。
ここからどこへ行くのかはまだ決めてはいないのだが、町の人々からも情報を得ようと町の中央へと向かっていれば、そこに居た男性からはキーエンブレムの話を聞く。
『力を認められた者に与えられる』と言う話で、誰もが受け取れるという物ではない様だが、彼はアズランの領主タケトラの力になる事で手に入れられると考えている様だ。
彼から聞いた話にも、町の人達の話からも、今アズランでは、彼ら曰く『風がよどんでいる』と言う状態にあり、病にかかっている人が増える事にも不安がある様…。
キーエンブレムについてはともかく、領主は何か困り事があるのだという事…。アズランの領主は、体の持ち主である「ユイナ」からすれば、同じ学び舎でしばらくの時を共に暮らし、同じ時期に試験を受けたフウラの家族だ。
何か力になれる事があるのなら…そう思い、領主の屋敷の方へと足を向ける。それにキーエンブレムは、力ある者と認められた証…今後更にもっと広い場所をと旅するのならば、身を証明する事にもなると思え、その話も含め領主には話を聞きたいと思う。
そうして町を領主の屋敷へと向かって歩いていると、屋敷とは逆の方向…大地の箱舟と言われる大陸間を繋いでいる鉄道の駅の方向…駅の方向から歩いて来たらしい、この大陸の方ではない姿をした少女が、きょろきょろとしているのが視界に入る。
「あっれぇ?? ここは…どこぉ!?」
自分が思っていたのとは違う所に来てしまった…と言う所だろうか、自分がどこに居るのかすらわからない…そういう様子だ。
その姿は、故郷エテーネの村で暮らしていた頃に、村の外や…最後の日にテンスの花をと取りに向かった洞窟の中に見た壁画にと描かれていた、人間以外の種族…の中にあった「ドワーフ」…だ。
ユイナの体となった『ユイナ』や、ツスクルで暮らしていた者達もまた、同じ石碑や壁画では「エルフ」としてその特徴が書かれていた通りの者達だった。
壁画にと書かれていた内容には、消えてしまった種族…の様に描かれていたが、ツスクルやアズランで暮らすエルフも…目の前にいる「ドワーフ」である彼女も…とても生き生きとして、日々を生きている様子…。
ここに来るまでの旅の中、色々な人から少し話を聞いた中では、逆にこちらではエテーネの村や村があった島の事は知られていない様だった…。
そう言った謎も、旅をする内にどこかに文献など残されているのかもしれない…。元よりの探求心もあってか、旅にも楽しみな所があるし、目の前の会った事のない別種族の少女にも興味はわく。
「大丈夫ですか? お困りですか?」
声をかけたユイナに、
「あっ」
ぱっとこちらを見たその少女は、明るい様子で駆け寄って来て、
「いやぁ実はうっかり…乗るつもりもなかった箱舟に乗ってしまってぇ~」
えへへっ…と照れたようにと笑って頬を掻く。
別の大陸から、自分では思っても無い所へ来てしまった…と言う事で、今居る場所すらどこの町かもわからずに居た様だ。
彼女も元々自分の理由もあり、旅をする予定があった…と言う事だったが、帰るにしろ別の場所へ向かうにしろ、今の所『迷子』の状態…。
これからどうしたらいいのかを含め、話を聞く為にも、一度ゆっくり座れる場所へ…と決めて、酒場へと向かう事にした。
