辿り路10 ~新たなキーエンブレム~
ユイナ達もナブレットと共に銀の丘へと向かい、ナブレットが扉に向かってもう出て来て良いと声をかければ、前は固く閉じられていて、びくともしなかった扉が開く。
呼びかけても少し戸惑っていた様子だった子供達だったが、1人が扉を飛び出せば、皆後に続いて外へと出て来る。
その子供達にと、ナブレットが怖い思いをさせた事を詫びれば、自分達を助けるためだったと理解した子供達は、すぐにそれを許す。
最後に出て来てプディンが、閉じ込められてなおナブレットを信じていたと言うのに、軽口で返すナブレットは…少しテレからかだろう反応。
ナブレットが魔物を倒した事をとユイナ達にも礼を言うのに、子供達も同じくこちらに向けてありがとうと笑顔を向ける。小さくてモフモフしていてとても可愛らしい。
そうして…子供達はナブレットに向けて、魔物への疑問を向ける…「なぜ魔物は子供達をみんな食べようとしたのか」だ。
その疑問に、ナブレットは昔話を話して聞かせる。未来を見る力をもった不思議な少女の話…その少女が手に入れたノートとそのノートが持つ願いをかなえる力と…その代償…。
そしてアルウェの前にと現れた魔物の目的は、生まれている筈の救世主の行方を知る事だった事…だがその魔物との話の間に、彼女はその救世主は生まれる事なく、世界にと危機が迫っている事を能力により知ってしまった事…。
彼女が魔物から子供達を守るため…その時に知ってしまった世界の危機を回避するための時間稼ぎとして、魔物と約束したのが「15年の約束」だったのだ。
15年経ったら子供達を食べてもイイから、15年間は子供達には手を出さない様に…そんな約束だった。
そうして…15年の猶予を作り、15年後には子供達を守るための準備をと兄ナブレットへと頼んでいたのだ。
そのアルウェ自身はナブレットにとその計画を託した1年後には、メギストリスの王女として王子を出産し、その後…暮していた屋敷ごと謎の死を迎えていた…。
それらの話を子供達と共に一喜一憂しながら聞き終える…。
その後ナブレットは子供達をと連れて町へと帰って行った…のだが…そこに、未だナブレットを誘拐犯だと思って追いかけていたパクレ警部が駆け込んでくる。
そうして…扉を見つけると、ユイナ達の事には見向きもせず…こちらが声をかける間もなく…扉へと突撃していく…と…思わない事に扉は開き、パクレを中へと入れた後にパタリ…扉は閉じられた。
「あ…」
「あぁ…」
「あぁあ…」
「あらあら」
ユイナ達はそれぞれに声を上げて扉を見つめる。一応扉を確かめてみるが、それは固く閉じられ…取っ手などもないため、開く方法は分からない。ナブレットは言っていた…扉は開くべき時にしか開かない…と。
「次に…扉が開くのはいつかは分かりませんが…」
「どうにもならんな」
おそらく、扉にとって開くべき時が来るまでは開かないのだろう…。扉の向こうからはパクレの…初めはナブレットへの悪態と…最後には助けを懇願する情けない声だけが響いていた…。
今扉が開き、パクレを中へと入れたのには何か「扉の意味」があった事だろう…ならば、いつかその開く必要がある時期…が来れば開く事になる。中は然程危険と言うような場所でもなさそうだ。
扉と閉じ込められたパクレの事は、いつか開く機会が分かるまではどうにもできずに、扉の前を後にする…。
その後、銀の丘を後にしたユイナ達は、ナブレットに来るようにと言われた事もあり、オルフェアへと戻りサーカステントを訪れた。
そこでは再び子供達の姿が戻り、町の人も集まっていて、ユイナ達は魔物を倒して子供達を救った英雄だとしてナブレットにと盛大に迎えられる。
そして…人々が沸き上がる中…ナブレットは今回の事についての詫びと、責任を取ってサーカス団を解散して、町長を誰かに譲って町を出て行く事を宣言していた。
ところが…それを、子供の1人が声を上げた事をきっかけに、町の人達が止める。ナブレットのやった事は説明ができない事だった故に、町の人には無断で実行した事は強引な手段ではあったが、たった1人で予言を信じて子供達を守ろうとしての行為…それを町中の人達も認め、サーカス団を続けて欲しいと願っていた。
そうして…町の人達の声を受けてサーカス団は再び歩みなおしを宣言し、舞台で今度こそちゃんとしたショーが開催される。
前回は子供達誘拐騒ぎで途中で終了していたショーは、皆の拍手と喝采の中で華やかに終幕を迎える。
そして…ユイナ達には、ショーの終わりに舞台へと呼ばれ、新生ナブナブ大サーカス団のアクロバットケーキ第一号が送られた…。甘く可愛らしいケーキの中に…「白のキーエンブレム」が隠されている。
「甘い…」
「…後で洗お…」
リョウとネネが小さく呟く。
(ちょっとべたついてますぅ)
少々出て来た場所が…ケーキの中と言う普通の取得状況とは違ってはいたが、無事…ユイナ達は新たなキーエンブレムを手に入れる事になったのだった…。


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