「目覚めし五つの種族」

辿り路8 ~サーカス団の団長と子供達~

ユイナ

 案内されたのはサーカステント…。

「町長が…サーカス見学?」

 中に入れば、今日はサーカス団の結成15周年記念で、子供達には特別無料招待…。なので町中の子供達が集まっている様…付き添いの大人達もサーカスの開始を楽しみに待つ風…。

「あの人がナブナブサーカス団団長であり、オルフェアの町長でもあるナブレット団長だよ~」

 町長はサーカス見学ではなく、団長としてステージでショーの開幕を告げているその人だった…。

 ところが…楽し気なショーは、突然にして…思わない形で終わる。

 ユイナ達も目の前で起こった出来事に見回した場は騒然としていて、残された大人達は何が何やら分からない…そんな様子…。次第に自体を理解した彼らは、散り散りにとテントを駆け出していく…。

「一体…どういう事でしょう…」

「えぇ~無料で子供達を招待していた団長が子供達を攫って消えた!?」

  ユイナ達も誰もいなくなったサーカステントを出る。入口に居た団員が、控室に居る他の団員なら何かを知っているかも…そう言うので、控室へと向かう。

 ユイナ達が控室を訪ねた時、同じようにナブレット団長を追っているパクレ警部が飛び込んで来て行方を聞いている。

 その話の途中…唯一町に残されていた子供がいた…。名前はプディン…親を亡くし親類に引き取られた事でオルフェアにと来た所を、団長がサーカス団にと引き入れて面倒を見て来た子だったらしい。

 団長を庇うプディンと警部の言い合いの間に、どこからともなくナブレット団長が現れ…プディンの事も連れ去って消えてしまう。

 警部がそれを追って控室を出て行った後…団員達から行先の思い当りがあると言う話を聞く。

 別の団員が情報を与える事に疑問を口にしていたが、団員達の話し合いの後で団長の行先を教えられる…彼らの話を聞いてからユイナ達も控室を後にした…。

「銀の丘…ですか」

「わし、前に行った時は建物はないのに扉だけあったなぁ…」

 その扉も開くわけではなく、ただぽつんと佇んでいたらしい。

「手がかりがあるだけでもイイよ~行ってみよ~」

 どんな理由があるにしろ、子供たちをさらって行ったナブレット団長からは話を聞く必要があるだろう。ユイナ達は唯一の手掛かりである団員の話を頼りに、銀の丘を目指しオルフェアを出発する。

 オルフェアから銀の丘へは道なりにまっすぐだ…。町の外のモンスター達がアズラン付近のモンスター達とはまた違っている。モンスター達もどこかカラフルな気がする。

 エリアが変わってレベル帯の変わった敵に、襲われ…追われながら目的地を目指す。

 誰かが見つかったモンスターがその相手を追いかけて行く軌道にと入ってしまい、後ろからぶつかったり…別の誰かから逃げ出したモンスターが突然ぶつかって来たり…。

 そんなユイナとネネの様子に、旅慣れたリョウが少し後ろから笑いながら追いかける…今回の旅もわぁわぁと…相変わらず賑やかった。

「この先やね」

 リョウが銀の丘への入口を示す。子供達を攫って行ったナブレット団長は、元々は町で人気のサーカス団を結成し町の人達からは慕われていた人…。子供達を攫った理由はわからない。

 この先に待ち構えていて突然襲って来る…それはないと考えながらも、少し注意して丘へと進む…。

 少し丘の上が見える所まで進んだ所…その先に見える扉…その前にナブレット団長と子供達の姿が見える。団員達の言う通り、彼らは銀の丘に来ていた…。

 見ている間に…前にリョウが来た時には動かなかったという扉が開く。本来建物がない状態のそこにただ立っているだけの扉は、開けば丘の向こう側が見えるだけ…の筈なのだが、その扉はただの扉ではなく、どこか不思議な空間に繋がっている様だ。

 団長によって子供達はその扉の向こう…不思議な空間へと放り込まれる。最後に残ったプディンが団長にと「どうしてこんな事を」と必死に訴えているようだったが、団長はそれにも答える事はなく、

「悪いな…」

 ただ詫びと…「時間がない」とだけを告げて、プディンの事も扉の向こうへと放り込む…子供達が全員向こう側へと入れられると扉は自然と閉じてしまう。 

 その扉を見守りながら何かを呟くナブレット団長は、悪意…そういう物が感じられない。その後ろ姿に近づいたユイナ達を、ナブレットは振り返る事なく…種族を言い当てる。彼の特技らしい。

 そうしてこちらが彼らを追って来た事もわかりながら彼は多くは語らず、自分達が次に会うのはオルフェアの町だろうと言い残してその場を去る。

 彼が去った後ユイナ達は閉じられた扉に手をかけてみるが、その扉は固く閉じられていて、押しても引いてもピクリとも動く事はなかった。ナブレットの言う通り扉は鍵穴などがあるわけでもなく、不思議な力により「開くべき時にしか開かない」特別な扉の様だった。

 ともかく今ここで扉を眺めていても、扉の開き方もいつ扉が開くのかもわからないため、それを知る者…ナブレットを追う他ない。オルフェアで会うと言う彼の言葉通り、ユイナ達はオルフェアの町へと戻る。

「さて…どこへ行ったかな」

 町を見回す。通りに居た人に話しかけて見れば、ナブレット団長がついさっきサーカステントの方へ行ったのを見た…そう言う人が居る。

 ユイナ達はその言葉を受けて、ついさっきの事ならばまだサーカステントに居るかもしれない…そう頷き合ってテントへと向かった…。

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